握手の代わりに支持者とこぶしを合わせる候補者=19日午前10時40分、宇都宮市内(画像は一部加工しています)

 新型コロナウイルス対策や経済対策を主な争点とした衆院選が19日、公示された。県内では1区を除いて与野党一騎打ちとなる中、与党候補は自公連立政権の実績と安定を訴え、共闘を本格化させた野党候補は政権交代による政治の一新を主張した。2区では自民党新人が「挙党態勢」で立憲民主党前職からの議席奪還を目指し、4区では立民新人が「背水の陣」で自民前職の牙城に挑む。コロナ禍で行われる本県初の国政選挙。冬の気配も感じさせる各地の肌寒さとは対照的に、各陣営の熱気は初日から一気に高まり、12日間にわたる舌戦が幕を開けた。

■1区■前職、新たな政策意欲 野党3候補 一新主張

 自民党前職船田元(ふなだはじめ)氏(67)は午後6時、宇都宮市の護国神社境内で出陣式を行った。新型コロナウイルス対策、デジタル化などさまざまな政策に意欲を示し、「13回目の選挙に勝ち、自民党の真ん中で、新しい自民党の民主主義に取り組む」と声を振り絞った。

 JR宇都宮駅西口で出陣式に臨んだ日本維新の会の元職柏倉祐司(かしわくらゆうじ)氏(52)は「7年間、浪人した。これだけの人に集まっていただき本当にうれしい」と涙ぐんだ。支援者らから声援を受け、「皆さんの声を国政に届けられるよう死に物狂いで頑張る」と力強く誓った。

 2度目の挑戦の立憲民主党新人渡辺典喜(わたなべのりよし)氏(38)は午前10時から同市江曽島町の選挙事務所で出陣式。「皆さまのおかげでこの場に立たせてもらえた」と感謝した。ドアに「世代交代 変えるぞ38歳」と書いた遊説車に乗り込み、支持者に手を振りながら出発した。

 共産党新人青木弘(あおきひろし)氏(60)の出陣式には、田村智子(たむらともこ)共産党副委員長も駆け付け、「野党4党による共通政策に合意できた」と共闘による政権交代を訴えた。

■2区■立民「真の豊かさ創る」 自民、「奪還」へ挙党態勢

 6選を目指す立憲民主党前職で同党県連代表の福田昭夫(ふくだあきお)氏(73)は午後6時、最後の出陣式を鹿沼市仲町のまちの駅付近で行った。

 県議、市議と比例候補の元県議船山幸雄(ふなやまゆきお)氏(67)らが駆け付ける中、連合栃木の吉成剛(よしなりつよし)会長は「苦労や痛みが分かる福田さんを何としても国会に送ってほしい」と声を張り上げた。

 鉢巻き姿の福田氏は「あまりにも不公平になった税制と働き方を変えれば、分厚い中間層ができて経済も再生できる」と強調。「地方の真の豊かさを創るため全力で取り組んでいく」と支持を呼び掛けた。

 自民党新人で前県議五十嵐(いがらし)清(きよし)氏(51)も鹿沼市西茂呂2丁目で最後の出陣式。公認争いの末、比例に回った前県議西川鎭央(にしかわやすお)氏(50)と父公也(こうや)氏(78)、県連会長の茂木敏充(もてぎとしみつ)氏(66)が顔をそろえ、「挙党態勢」を印象付けた。西川氏は全ての出陣式に姿を見せた。

 五十嵐氏は「2区の発展には政権与党の衆院議員が必要だ」と強調。公明党への配慮にも言及した上で、西川氏とともに「小選挙区は五十嵐、比例区は自民党」とアピールした。候補者調整に尽力した茂木氏は「どうしても2人を当選させる思いで選挙戦に臨む」と訴えた。

■3区■自民と立民の一騎打ち

 自民党前職簗和生(やなかずお)氏(42)は夕方、大田原市の結婚式場の駐車場で出陣式を迎えた。3区の多くの首長、一部の自民県議、市町議らも出席。選対本部長の津久井富雄(つくいとみお)大田原市長は「前回を上回る8万票を積み上げてほしい」と強調。県議らからは圧倒的勝利と陣営引き締めを求める声が相次いだ。

 簗氏は「4期目の当選をさせていただいて、さらに力を増して皆さまの声を国政に届けたい」と訴えた。

 同じく夕方、国政への初挑戦となる立憲民主党新人伊賀央(いがひろし)氏(57)は、那須塩原市の選挙事務所で出陣式に臨んだ。

 「旧態依然の今までの政治ではコロナ禍に対応できない」と政権交代の必要性を強調。3区で民主系の候補が立つのが2005年の衆院選以来であることを意識し、「保守の地盤を掘り起こして、もっと風通しの良い民主主義をつくり上げたい」と支援を求めた。

■4区■前職9選へ「負けない」 4度目新人は背水の陣

 自民党総務会長だった同党前職佐藤勉(さとうつとむ)氏(69)は午後5時すぎ、9選を目指し真岡市図書館東側の駐車場で出陣式を行った。芳賀地区1市4町の首長や自民、公明両党の県議4人らが顔をそろえた。

 芳賀郡市選対本部長を務める岩崎信(いわさきまこと)県議は「佐藤氏は芳賀郡の財産。非常に厳しい選挙だが、何が何でも負けるわけにはいかない」と力を込めた。

 佐藤氏は「この地域を良くしようと、25年間走り続けてきた。いろいろなインフラの整備、道路もしかりだ。これからも働かせていただきたい」と訴えた。

 4度目の挑戦となる立憲民主党新人藤岡隆雄(ふじおかたかお)氏(44)は午後1時半すぎ、真岡市内の事務所で出陣式を行った。

 芳賀地区の市町議や県議が並ぶ中、支持母体である連合栃木の吉成剛(よしなりつよし)会長は「今の政治を変える。変えてくれる藤岡さんをぜひ国政に送ろう」と訴えた。

 藤岡氏は「議席を頂ければ、永田町での仕事はもちろん、地元を回って皆さんの声を聞き国会へ届ける。退路を断ち、背水の陣で臨む」などと決意表明した。

 佐藤、藤岡両氏は午後7時、JR小山駅周辺でもそれぞれ出陣式に臨んだ。

■5区■外相と共産新人が対決

 10期目を目指す自民党前職で外相の茂木敏充(もてぎとしみつ)氏(66)と、前佐野市議で共産党新人岡村恵子(おかむらけいこ)氏(68)との一騎打ちとなった。

 足利市南町の選挙事務所で行われた茂木氏の出陣式には、早川尚秀(はやかわなおひで)市長をはじめ地元議員、経済界幹部らが顔をそろえた。

 「10回目の選挙はナンバーワンを目指す戦い」「あなたの1票が足利から総理をつくる」との総理待望論を受けた茂木氏は「さらなる高みを目指す大切な選挙。大きな支援で国会に戻り、活躍して参りたい」と力強く語った。

 元保育士で、旧佐野市時代から市議を6期22年務めた岡村氏は、同市富岡町の選挙事務所で「今度の選挙で自民党・公明党の政治を終わりにし、政権交代したい。国民の命を守る政権にする」と第一声を放った。支援者からは「そうだ。自民党政権はうそばかりだ」などと声が掛かっていた。