老朽化が進む那須烏山市役所烏山庁舎。新庁舎整備は川俣氏の最大の公約だ=12日午後、同市中央1丁目

 任期満了に伴う那須烏山市長選は17日に告示が迫った。立候補を表明しているのは再選を目指す無所属の現職川俣純子(かわまたじゅんこ)氏(60)=自民推薦、公明に推薦申請中=のみで、無投票の公算が大きい。市役所新庁舎整備などを巡り川俣氏に反発してきた市議会の中から対立候補が現れるとの観測があったが具体化せず、保守分裂の選挙戦にはならない見通しだ。

 今月2日、同市中央2丁目で行われた川俣氏の事務所開き。「この4年間で、できなかったことが山積みになっている。それらを解決し、市の向かう先をつくることが私の仕事だと思う」。支援者ら十数人を前に川俣氏は意気込んだ。

 後ろ盾である三森文徳(みもりふみのり)県議のほか、今回の市長選に際し市議有志が9月末につくった「川俣市長を支える会」の一部メンバーも出席した。

 だが、同会に加わるのは市議16人中10人。17人中15人が支持した4年前とは様相をやや異にしている。

 川俣氏は市役所新庁舎の整備を公約とするが、この4年間の道のりは険しかった。合併当時に策定された新市建設計画を踏まえ、2019年に烏山地区中心部の中央公園に本庁舎を置く構想の素案を示したものの議会の意見は割れ、今も合意形成に至っていない。

 同年の台風19号時の対応や南那須地区広域行政事務組合の運営方針などを巡っても一部市議らは川俣氏への反発を強め、今年3月には市の本年度当初予算案が異例の修正動議を経て可決される事態ともなった。

 こうした中で出てきたのが、「市議の中から対立候補が現れるのでは」との観測。同じ自民系でも三森、川俣両氏と一定の距離があるといわれる簗和生(やなかずお)衆院議員が反川俣派の市議らと連携を強化し、今夏に自身の後援会那須烏山支部を立ち上げたことも観測を強める材料となった。

 結局、現在まで対立候補は現れず、今春の足利、日光市長選のような保守分裂の構図にはならない見通しだ。同支部立ち上げのキーマンだった久保居光一郎(くぼいこういちろう)前議長が7月に急逝し、「反川俣派の戦略に齟齬(そご)が生じたのでは」とみる関係者がいるほか、市議の一人は「対抗馬擁立を模索する中、思ったより現職の壁が厚いと感じたようだ」と話す。

 「衆院選と時期が重なる市長選で党が割れるのは、簗氏にとっても得策ではない。反市長派の市議らも空気を読んだのだろう」とする元市議もいる。今回の衆院選で三森氏は「(自身が支部長の)自民党那須烏山支部は簗氏を支える」としている。衆院選を控え、関係者の間には市長選を穏便に乗り切りたいとの空気も漂っている。