「ついに脱東京圏の兆候か」と興奮した。今秋、帝国データバンクが公表した1~6月速報で、本社機能を東京、埼玉、神奈川、千葉の1都3県から地方に移転した企業は、前年同期比46・5%増の186社に上った。過去10年で最多という▼このうち本県への転出が9社(全国8位)、茨城は19社(2位)、群馬は10社(7位)だった。本県から東京圏への転出と東京圏から県内への転出の差が、4件のプラスだったのは上位入りと合わせ素直にうれしい▼首都圏にある本県は、新幹線や高速道など軸となる交通インフラは整備されている。地価は手頃で広い用地が確保できる。東京圏に比べれば、家賃など生活費は安い。医療や教育環境も比較的充実している▼しかし簡単に企業が来る時代ではない。宇都宮支店の古川哲也(ふるかわてつや)情報担当は「一定規模の企業が移転をにおわせたら60、70の自治体はすぐに動く」と明かす▼本社が移れば、税収や雇用など経済的なメリットは極めて大きく、自治体の熾烈(しれつ)な競争は想像に難くない。金融機関は都内の工場などに、アプローチしているといわれる▼コロナ禍が引き金の一つとされるが、一過性のものに終わらせたくない。本県はどう動くべきか。「まず積極的に情報を集め、先んじて接触する。そして魅力的な提案を行う」。古川氏の助言である。