県民のまぐろ好きは有名だ。家計調査による県庁所在地および政令指定都市の最新ランキングで、宇都宮市は消費量が全国3位。なのに生鮮魚介全体では37位まで急降下する。体にいいと分かっているのに▼しかも魚介類の消費量は全国規模で減り続ける。同市中央卸売市場内の水産仲卸「貞正(さだしょう)」社員で大の魚好きを自認する堀越智也(ほりこしともや)さん(33)が、子どもたちにその魅力を伝えようと出張講座を始めた。宇都宮の縁起物にあやかり「きぶなくん」を名乗る▼思いは至ってシンプル。「一緒にわくわくを共有したい」。引っ越しで保育園を転園する際、先生が海の魚の小さな図鑑をくれたのをきっかけにはまった。すり切れるほど見て、今も宝物だ▼県外の水族館勤務を経て、県内で最も海の魚と接することができる同社に入社。ボランティアで始めた活動は会社公認になった▼「魚に興味を持って、おいしいなと食べてほしい。それが一番の供養だから」と目を輝かせる。新型コロナが収束すれば派遣依頼がもっと増えるに違いない▼近年は地球温暖化による海水温の上昇でサンマやサケが不漁になったり、海を漂うマイクロプラスチックを魚が食べて生態系に影響が出たりする問題も指摘される。子どもたちが海の環境にも興味を持ってくれたなら、きぶなくんも魚冥利(みょうり)に尽きるだろう。