山形俊男氏

 スウェーデンの王立科学アカデミーは5日、2021年のノーベル物理学賞を、真鍋淑郎・米プリンストン大上席研究員(90)=愛媛県出身、米国籍=ら3氏に授与すると発表した。真鍋氏は大気と海洋の循環を考慮した気候変動のモデルを開発。二酸化炭素などの温室効果ガスに着目し、地球温暖化の予測に関する先駆的な研究を続けた業績が高く評価された。

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 「真鍋先生の業績から言えば当然の受賞。我々の研究分野からノーベル賞が出たこと自体が大変に貴重で大きな変化を感じる」

 宇都宮市出身で、気候変動に関する研究で世界的な賞を多数受賞している山形俊男(やまがたとしお)海洋研究開発機構特任上席研究員(73)=下野新聞社客員論説委員=は5日夜、真鍋さんの受賞に声を弾ませた。

 山形さんは1981年、国内での研究に嫌気がさし、「雲の上の人だった」真鍋さんが在籍する米プリンストン大の地球流体力学研究所に手紙と論文を送り、採用された。以来、40年以上、家族ぐるみのつきあいがある。受賞の2日ほど前、真鍋さんが候補者に急浮上していることを知り期待していた。

 「地球物理学や気候の分野でノーベル賞はもらえないというのが長くわれわれの認識だった。真鍋先生の受賞で『とれるんだな』と非常に勇気づけられた」

 SDGsに代表される社会の持続可能性や、今回選定理由に「人類の生存可能性」が入ったことに触れ、「ボブディランが文学賞をとったように、物理学賞の概念を変えたことは社会に対するメッセージではないか」と受け止める。

 真鍋さんが切り開いた温暖化予測につながる研究について、世界各国に影響を与える気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に使われるモデルの原形をつくったと指摘。「真鍋先生のおかげであり、ものすごいことだ」と絶賛する。

 一方で「言い方は失礼かもしれないが、性格的には『普通のきさくで気取らない町のおっさん』。本当につきあいやすい人」と笑う。「奥さんはテニスで、本人は水泳が大好き。1日1万メートル泳いだこともある」と話した。