那須岳山麓を源流とし、太平洋に注ぐ総延長150キロの那珂川。関東随一の清流として知られ、水系には約70種の魚類が生息している▼2001年7月に、大田原市の那珂川右岸にオープンした「県なかがわ水遊園」のおもしろ魚館は、国内でも珍しい淡水魚の水族館である。開園20周年を記念して、原点とも言える那珂川と日本の淡水魚をテーマにした企画展を7月中旬から始めた▼担当者が1年かけて水系の120河川、290地点で魚類や水生昆虫、水草、貝類などを調査した。目にしたものや肌で感じたこと、流域の人々から聞いた食文化や漁業、文化財の話などを20の物語にまとめた▼那珂川の源流近くまで4時間歩き続けて到達した風景や水中に潜って撮影した遡上(そじょう)するサケの姿、県内で初めて発見したヌマエビ、幻の生物といわれるミツバヤツメの繁殖行動の初映像など、胸躍る中身となっている▼併せて調査の成果をまとめた冊子「那珂川探検マップ」を発行した。水系を北、中、南の3エリアに分けて紹介し、調査活動の裏話の数々が掲載され興味深い▼魚館の総力を挙げた節目の企画展だったが、コロナ禍に翻弄(ほんろう)された。休館のため開始半月で中断。1日から2カ月ぶりに開館し、今月末まで延長となった。那珂川の奥深さや川魚の魅力を存分に感じることができる。