自民新総裁が岸田氏に決まったことを報じるデジタルサイネージ(電子看板)=29日午後4時20分、宇都宮市江野町

 本県などへの新型コロナウイルス緊急事態宣言が解除される新たな局面を迎える中、事実上の首相となる、自民党総裁に選ばれた岸田文雄(きしだふみお)氏。栃木県民からは豊富な政治経験やバランス感覚を生かした手腕に期待する声が上がった。総裁選後、「今は民主主義の危機」「特技は人の話をしっかり聞くこと」と語った岸田新総裁。「丁寧に情報発信してほしい」と政策決定過程の透明化など、民主主義の根幹に対する注文もついた。

 宇都宮大農学部3年渡辺幸樹(わたなべこうき)さん(20)は、各候補の経済対策やコロナ対策に着目して総裁選を見守った。新総裁に期待するのは、出馬時に掲げていた所得の分配施策を含む子育て世帯や教育への支援だ。

 「学費や生活費の捻出が大変な学生もいる。困っている当事者や若者の声を直接聞き、具体的な施策を決めてほしい」と求める。

 「議論の公開性」も重視している。現政権では、日本学術会議の任命拒否問題など、決定までの過程が見えにくいと感じることがあった。「施策を決めるまでのプロセスは有権者の判断材料。しっかり公開してほしい」と注文を付けた。

 外相時は連続期間として戦後最長となる在任期間を誇った岸田新総裁。日光市所野、自営業吉新佐紀子(よしあらさきこ)さん(72)は「安定感がある印象。外相経験もあり、グローバル社会の中で引っ張っていってくれそう」とリーダーシップに期待する。

 コロナ禍でのかじ取りに「早く自由な生活に戻るとともに、子どもの教育の充実や格差を無くす取り組み、国民に納得のいく政策をしてほしい」と加えた。

 鹿沼市上石川、自営業谷中和弘(やなかかずひろ)さん(57)は「今まで通り派閥の論理で決まったのかな」と総裁選の印象を語りつつ「(岸田新総裁は)バランスが取れているし意欲も感じた。国民に向けて丁寧に情報を発信してほしい」と期待を込めた。

 「最も印象に残った候補者は発信力のある河野氏だった」。佐野市堀米町、会社員赤坂璃子(あかさかりこ)さん(28)は、党員票で河野太郎(こうのたろう)行政改革担当相を下回る結果に「地方の声が反映されたと言えないのでは」と不満も残る。コロナ政策が転換点を迎える中、「ウィズコロナ時代の経済をうまく回してほしい」と要望した。