1カ月以上にわたった緊急事態宣言が解除される。執筆に必要な資料を見るため県立図書館を使う機会が多いが、宣言中は休館となり難儀した。市町も多くが図書館を閉め、在宅を求められても読む本がないと嘆いた人たちも再開に安堵(あんど)しただろう▼その県立図書館は今年、県庁東の現在地に移転して50年になる。斬新な意匠設計で、開館当初は「白亜の建物」として建築誌のグラビアを飾った▼かつては最上階に300席の学習室も備えた。エアコンがまだ家にない時代だったから、学生の頃は夏休みなどに足しげく通った思い出もある▼時と共にさまざまな点でニーズに合わなくなった。車社会なのに駐車場がない、丘の上に立ち館内もバリアフリーには程遠く、蔵書も少ない。何より、その8割が閉架式の書庫にあって、どんな資料があるのか分かりづらい▼新型コロナの影響が少なかった2019年度の入館者数は、全都道府県立図書館で最下位だった。市町立と違い専門書や地域の資料をそろえるので、入館者数だけで存在価値を測るのは早計だが、最下位は悲しい▼県は本年度から5年間の県政の基本指針「とちぎ未来創造プラン」に、将来構想の策定を掲げた。どんな時代になっても、県民にとって頼りになる知の拠点とは何か。白熱した議論の展開を期待せずにいられない。