ザ・リッツ・カールトン日光や星野リゾートの「界 日光」など、県内で開業した高級ホテルや旅館の室内装飾に「鹿沼組子」の採用が相次ぐ。精緻な伝統工芸が本県の歴史や文化の象徴として、国内外から訪れる観光客に感動を与えるからだろう▼切り込みを入れた木片をわずかな狂いもなく組み込んでいく組子。欄間や障子などに用いられるが、和風住宅の減少で目にする機会は減った▼美しさに魅了され、現代でも生かされる道を開こうと、宇都宮工業高の建築研究部が鹿沼組子による耐力壁を研究テーマにして10年近くになる。木造建物は耐震性を上げるため、壁の中に筋交いが入っているのがヒントになった▼さまざまな三角形から成る組子は、繊細な姿とは裏腹に強度が高い。光や風を通し開放的で、台風や地震が多い日本で建物を守る存在になれば、活用の幅は広がる▼強度と美しさの両立や建材としての扱いやすさなど改良を重ね、同校創立100年に当たる2年後の完成にあと一歩のところまで来た。年明けには建材の公的試験機関で正式な性能評価を受ける▼部員が関われるのは当然ながら3年間だけ。3年生で部長の永島(ながしま)みのりさんも後輩に夢を託す。「いつか普段の生活で組子を見られるようになれば」。伝統工芸と同様、地道な作業というバトンが引き継がれる。