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子どものそばで訓練するマール(左)らセラピー犬=21日午後4時35分、鹿沼市日吉町

 医療機関や高齢者施設などへの訪問活動を行うNPO法人「とちぎアニマルセラピー協会」(栃木県鹿沼市)のセラピー犬が、「読書介助犬」を目指して訓練を重ねている。鹿沼市内で21日に開かれた訓練会で、読み聞かせをする子どもの傍らに寄り添い、じっと耳を傾けた。コロナ禍で他者とのコミュニケーションの機会が減る中、子どもたちに対面での会話や音読に自信を持ってもらうのが狙い。活動の場が激減したセラピー犬にとっても、新たな1歩となっている。

 21日午後、同協会が鹿沼市で運営する飲食店「いぬかふぇ まいら」で開かれた訓練会。カーペットの上で横になった子どもが、絵本の表紙をめくる。「お月さま なにみてる?」。そっと体を寄せたのが、穏やかな性格のラフコリー犬「マール」。読書の“相棒”だ。

 参加した宇都宮市簗瀬小6年西谷颯一郎(にしたにそういちろう)君(11)は「動かずじっくりと話を聞いてくれて、うれしかった」とほほ笑んだ。

 同協会によると、読書介助犬の取り組みは約20年前に米国でスタート。人前で話すことへの抵抗が少なくなるなど、自己肯定感を醸成する効果が報告されているという。

 育成事業は、栃木市栃木図書館の依頼を受けて4月に始まった。協会登録のトイプードルなど個性豊かなセラピー犬約20頭が、月に1回ほど練習している。コロナ収束後には、公共施設などで介助犬との読書会なども企画していく。

 図書館の黒川拓一(くろかわひろかず)館長(46)は「コロナ禍でオンライン学習が進み、温度や手触りなど子どもがリアルを知る機会は大きく減った。動物との触れ合いを通じて五感を使った体験を届け、読書に興味を持ってもらいたい」と意義を語る。

 セラピー犬にとってもメリットが大きい。コロナ禍以降、病院などでの活動が大きく減ってしまった。マールは生まれつき左目がなく、ブリーダーから「コンテストに出せない」と相談され、協会へやってきた。持ち前の「人懐っこさ」を新たな活躍の場で発揮する。

 協会の平沢剛(ひらさわつよし)理事長(60)は「個性豊かなセラピー犬が読書をお手伝いする。多くの方に興味を持ってほしい」と期待している。