お地蔵様が川の流れを見守るように置かれている。2004年9月、小山市内を流れる思川に投げ込まれ、4歳と3歳の兄弟が亡くなった。同居の男による凶行だった。河畔の石仏は2体。花とおもちゃが供えられていた▼この残虐極まりない事件を契機に、子どもへの虐待を防ぐオレンジリボン運動が始まった。しかし、その後も幼い命が犠牲となる最悪のケースが後を絶たない▼「もうおねがい。ゆるして」。18年3月、都内で衰弱死した5歳女児が大学ノートに記した悲痛な叫びである。血縁関係のない父親は満足に食事も与えず、暴力を振るっていたという▼20年度、全国の児童相談所が虐待で対応した件数は過去最多、初めて20万件を超えた。連携を強めた警察からの通告が増えたことなどが考えられるとされるが、コロナ禍で在宅が増加する中、潜在化も懸念される▼元児相職員で、子育て支援NPO法人さくらネット小山理事長の高橋弘美(たかはしひろみ)さん(61)は気付きの重要性を強調する。それには「身近なところに『話せて、ともに考えられる人』がいて、『助けて』をキャッチできる環境が広がらないと」▼お地蔵様はとても慈悲深く、子どもの守り仏ともされる。2人の冥福を祈り手を合わせた。「いつまで繰り返すのか」。柔和な表情でふがいなさを指摘しているようだった。