裕福な国と誰もが思ってきた日本。国内総生産(GDP)こそ世界3位だが、国民1人当たりは下降を続け、20位以下まで落ちた。経済の低迷をもたらしたのは何か▼三重大の西村訓弘(にしむらのりひろ)教授は、東京への一極集中が一因と見る。打開の鍵は地域発のイノベーションであり、知の拠点である地方大学と、産業界や自治体などとの連携による「共創」が再生につながると説く▼民間出身で、イノベーション創出のため国が二足のわらじを推奨するクロスアポイントメント制度により、宇都宮大の特命副学長を兼ねる。宇大の社会共創促進センター発足に合わせ、共創をテーマにしたイベントで講演した▼紹介したのが、驚異的な単位面積当たり収入を誇る三重県のトマト農園「うれし野アグリ」だ。搾油で発生する熱湯を活用したい地元企業と、ハウス内の暖房費に悩む農園を三重大がつなぎ、今は最先端の農業を展開する▼「技術革新」と訳されるイノベーションだが、西村さんは経済学者シュンペーターの言葉を用い「創造的破壊と新結合による変革」と説明する。時代が求めているのは、地域の優れた資源や人材を結び、新たな価値を創ることなのだろう▼悩みを抱える企業や農家は、県内にもたくさんあるはずだ。大学は社会に門戸を開いている。明日を開く鍵が見つけられるといい。