米国人女性に日光の地図を渡して旅の助言をする酒井さん(右)

 【宇都宮】県内を訪れる外国人観光客が増える中、本県の玄関口・JR宇都宮駅構内で善意通訳団体「宇都宮SGG(システマタイズド・グッドウィル・ガイズクラブ)」会員の酒井昭二(さかいしょうじ)さん(91)=五代2丁目=が観光ガイドボランティアとして活躍している。高齢になっても英語の習熟に励む若々しい姿は市内の国際交流関係者の憧れで、外国人観光客への丁寧な対応も好評を得ているという。

 酒井さんは英語好きの家族に囲まれて育ち、戦時中は海軍で過ごした。戦後は、駅員を経て1950年に自衛隊の前身である警察予備隊1期生になり、その後自衛官に。在職中は多忙で英会話を習う時間はなかったが「米軍との折衝などで、英語は身近にあった」と振り返る。

 退職後、本格的に英語を学びはじめ、76歳で英検2級に合格。市国際交流協会や同クラブなどに入会し、英語力向上と仲間づくりに励んだ。2009年から、同クラブの会員と、日光線へ向かう階段の前で英語ガイドをしている。

 活動日は「ASK ME」と書かれたベストを着て足取り軽く、新幹線から降りてきた外国人観光客に寄り添う。ホームに誘導したり日光市内の地図を渡したりし、「ハブ・ア・ナイス・トリップ」(よい旅を)と笑顔で見送る。乗り換え時間のある観光客には、近隣の国指定重要文化財「旧篠原家住宅」を案内し、日本文化の紹介に努めている。

 「ガイドは簡単な英語でできますよ」と謙遜するが、ラジオ講座を聴き続ける一方、週5日3~5キロ歩き体力づくりも欠かさない。通学路の見守りも行う酒井さんは「海軍で一緒だった人の中には戦死者もいる。生きている間は社会参加を続け、人の役に立ちたい」と表情を引き締める。

 同クラブの寺門伸(てらかどしん)会長は「観光客の行動の先を読み、丁寧に接する姿は素晴らしい。人格者でもあり高齢者の理想です」と話していた。