多様性を象徴するかのようにカラフルに彩られた閉会式=5日午後9時25分、オリンピックスタジアム

 限界を超えた先の喜び、世界の壁を知った悔しさ、支えてくれた人への感謝-。世界最高のパラアスリートたちが東京で紡いだ13日間にわたる物語は5日夜、国立競技場で幕を閉じた。「調和のとれた不協和音」が閉会式のテーマになった。コロナ禍での開催となったが、共生社会実現への確かな一歩となった。

 閉会式に臨んだ各国選手団。車いすで踊り、手旗を振る。「ありがとうトーキョー」と叫ぶ声も聞こえた。国籍や人種、性別、年代が異なるように、障害の有無は特別なことではない。多様性と調和を象徴した聖火は、静かに消えた。

 車いすテニスは、栃木市出身の大谷桃子(おおたにももこ)選手(26)が上地結衣(かみじゆい)選手(27)とダブルスで銅メダルに輝いた。3大会連続で挑んだ那須塩原市出身の真田卓(さなだたかし)選手(36)は表彰台へわずかに届かなかったが、最後まで懸命にボールを追う姿に心が震えた。

 車いすバスケットボールは小山市出身、高松義伸(たかまつよしのぶ)選手(21)は最高の仲間たちと銀メダルを手にした。3年後のパリ大会は主力としての活躍が楽しみだ。

 目を見張るほどの高い競技性や支える人との温かな絆に、世界が注目した。しかし練習場所や指導者の数は足りているとは言い難い。障害を理由にスポーツを諦める人がいない世の中になってほしい。

 パラ競技のルールやギアの存在は、私たちに障害者に対する合理的配慮の在り方を教えてくれた。ルールなどで補えば、高い競技性を実現することを見せつけた。日常の暮らしでも合理的配慮さえ徹底されれば、障害者の可能性はもっと広がるはずだ。競技を通してこう実感させてくれたことが、身近な自国開催の東京パラの最大の成果だと感じる。

 来年の全国障害者スポーツ大会の舞台は本県だ。障害の有無を超え、ともに前へ。私たちは、進み続ける。