マチさん(右)のラブレターなどを記載した本を製本した真一さん

 夫婦の愛を一冊に-。栃木県鹿沼市東町、会社役員阿部真一(あべしんいち)さん(64)はこのほど、両親が太平洋戦争終戦後の1948年からやりとりを開始したラブレターを収録した「七十年の時空を超えて 百通のラブレター」を製本した。ラブレターからは「市制施行の祭典に出席した」などの歴史の一場面のほか、昭和中期の男女の恋模様が読み取れる興味深い内容になっている。

 阿部さんの父勝(すぐる)さん(享年86)は太平洋戦争中、海軍飛行予科練習生へ志願。三沢海軍航空隊などで訓練を受けたが出撃することなく終戦を迎えた。その後、東中の教員などを経て家業の印刷業に携わった。母マチさん(90)は今市の精銅所に学徒動員され、終戦を迎えたという。

 本には1948年から51年まで、勝さんからマチさんへ宛てた約60通の手紙を日付順に1枚ずつ収録したほか、勝さんの航空隊入隊時の写真や家系図なども収録。家族史の一面も持たせた。マチさんから勝さん宛ての手紙も含めると百通を超えることから「百通の-」と題したという。

 2人は終戦後、国鉄日光線の車内で出会ったという。勝さんの手紙には「私の胸は一瞬に高まりました」「貴女は私の心の支柱となりました」などとマチさんを初めて見た日の心情や、交際に当たり「大いに青春を謳歌(おうか)しようではありませんか」などと感情が高揚する様子も書かれている。

 勝さんは2012年に他界。その際、マチさんが保管していた手紙を家族に見せたところ「大切にとって置いたのなら」と本として残すことを家族で決めた。親戚で分担し、手紙の内容をパソコンで打ち込み約10年かけて完成した。

 マチさんは「最近は体が衰えあまり読み返していない。昔の記憶がよみがえってきてうれしい」と話した。A5判153ページ。家族の情報が多くあるため非売品だが、閲覧希望者は阿部さんまで。

 (問)阿部さん090・8945・2889。