「子どもたちの成長が楽しみ。この春、初めて大学に進学したんですよ」。下げた目尻は、父親そのものだった▼笑顔の主は、益子町大沢のNPO法人理事長菊地隆(きくちたかし)さん(68)。自宅敷地で小規模住宅型児童養育施設「こころの家」を運営する。いわゆる「ファミリーホーム」である▼虐待やネグレクト(育児放棄)、貧困などが社会問題化し、児童養護施設の重要性が年々高まってきた。より家庭的な養護が求められるようになり2009年、ファミリーホームは制度化された。県内には現在、4施設がある▼こころの家は、町役場を定年退職した菊地さんが14年に開設。施設勤務経験のある長女真弓(まゆみ)さん(36)と2人を中心に妻、パートが加わり、県内外からの女子を養育する。今は小学2年から高校2年の4人が暮らす▼多くの施設同様、資金難が重くのしかかる。財源は公的委託金と一般からの寄付だが十分ではない。一般家庭並に小旅行や学習塾に行かせるためスタッフの人件費を削る。「お金でも物でも寄付を」は切実だ▼養護施設を巣立ったケアリーバーの支援が近年、社会的な課題となっている。ファミリーホームには相談相手としての役割が期待される。真弓さんは「施設としての機能が終わっても家はある。帰ってくればいい」。いつまでも故郷であり続けてほしい。