厚生労働省によると、2020年、日本人の男性の平均寿命は81・64歳、女性は87・74歳で、女性は世界一の長寿である。しかし寿命は必ずしも人間、生物だけとは限らない▼企業や事業も永遠にとはいかない。一説に節目は「創業から平均30年」ともいう。帝国データバンク宇都宮支店の古川哲也(ふるかわてつや)情報担当は「産業構造や時代のニーズが激変する中、同じ姿で永続するのは簡単ではない」と解説する▼7月末、宇都宮グランドホテルが閉館した。1954年の創業で、皇太子時代の上皇、上皇后両陛下をはじめサッチャー元英国首相ら内外の要人が来館した名門ホテルであり、県民には衝撃だった▼ホテル経営の「おおるり」グループは2館を除き、鬼怒川温泉など県内外の10施設を8月末で閉館した。バブル崩壊以降、格安の宿泊料と満足感のある料理、バスによる送迎ツアーなど、お得感と便利さで人気を集めたのだが▼いずれもコロナ禍による売り上げの激減が原因である。屈指の格式や優れたビジネスモデル故に、経済環境が一変した影響が一段と大きかったのでは、という見方もある▼新型コロナは国内外の経済に大転換期をもたらすとも予測されている。「一企業ではなく業界、地域など大きなくくりで連携できるかどうか」。古川氏は生き残りへのカギの一つを示した。