試合終了後、笑顔で仲間とハイタッチを交わす高松(左から2番目)=30日午後4時10分、有明アリーナ

 控え選手が並ぶコートサイド。「いつでもいけるぞ」。日本体育大4年高松義伸(たかまつよしのぶ)(21)=小山市出身、栃木レイカーズ=は膝の上にボールを抱え、その時を待った。

 有明アリーナで30日に行われた車いすバスケットボール男子の1次リーグ最終戦。日本は3勝1敗で並ぶトルコとの競り合いを67-55で制し、A組2位で準々決勝進出を決めた。

 「行け、高松!」。心の中で叫んだが、残念ながら出場時間はゼロ。それでもチームで2番目に若い背番号21は「無事にチームが勝利できたのが何よりうれしい」。11人の仲間と拳を合わせ喜び合った。

 26日の初戦コロンビア戦で代表デビュー。続く韓国、カナダ戦で出場時間を増やし、29日のスペイン戦は最長6分45秒プレーした。

 第4クオーターに出場すると、パーマをかけた茶髪を揺らして全力でホイールを回した。「僕は得点する選手じゃない」。前線で相手の動きを抑え、3本のリバウンドをマーク。「最低限、自分の仕事はできているかな」と手応えをつかんだ。1次リーグ5試合の出場時間は計11分29秒。「全プレーヤーに刺激を受けて、良い経験ができている」

 カナダ戦では「車いすバスケ界のマイケル・ジョーダン」と称されるパトリック・アンダーソンとも競り合った。必要な体力、技術、メンタル-。コートに立った時間以上に、学ぶことは多いのかもしれない。

 中学3年の春、左脚に骨のがん「骨肉腫」が見つかり、作新学院高2年時に左脚を切断した。体験会をきっかけに始めた車いすバスケ。日の丸を背負うまでに成長した若武者は9月1日、準々決勝に臨む。

 「ゴールアタックして、高いラインでディフェンスを止めて、やり続ける」。準備は万端だ。