県内のナシのシーズンが始まった。お盆のころ「幸水」が先陣を切り、味覚の秋に「豊水」「あきづき」「新高」などが続く。10月下旬以降は県産のオリジナル品種「にっこり」が堂々のトリを務める▼いちご王国のインパクトがあまりに強く、その陰に隠れがちな面があるかもしれない。だが本県のナシ生産は全国トップクラスである。海外、特に東南アジアで「にっこり」の人気は高く、イチゴに負けない▼一方で生産者の高齢化が顕著な品目でもある。原因の一つは新規参入の難しさがある。1ヘクタール規模の農地を確保しなければならない上、かつては苗木植栽から収穫まで10年とされた。本県独自の栽培法などで改善が進むが、2年以上かかるという▼本年度、後継者の発掘と育成を目指し、JAなす南などが手掛ける「南那須農業アカデミー」がスタートした。今、30代女性が就農を目標に1年間の研修を受けている。30、40代の若手グループが仲間として支える▼引退する高齢農家が機材も含めナシ園を譲り、「畑を嫁に出した」気構えで退いた後もあれこれと世話を焼くという。初期コストが抑えられ、新規就農の不安が軽減される▼サポート態勢の充実が地域のナシ作りの明日を開くか。生産農家が「幸(水)」せで「豊(水)」かになり「にっこり」できれば、実にうれしい。