「子どもの心の声をとにかく聴いてほしい」と語る中野謙作さん

TALKの原則

「子どもの心の声をとにかく聴いてほしい」と語る中野謙作さん TALKの原則

 不安な気持ちを抱える子どもに対し、近くにいる大人ができることは何か。子どもや若者たちを巡る課題に長年向き合ってきた栃木県若年者支援機構代表理事の中野謙作(なかのけんさく)さん(61)は「子どもの心の声をとにかく聴くこと」とアドバイスする。

 中野さんは、発達障害の子どもを対象にした塾や、生活困窮世帯の子への学習支援などに取り組んでいる。毎年夏休みの終わりが近づくと、学校に行きたくないという内容の相談が保護者らから寄せられるという。

 例えば「おなかが痛い」「頭が痛い」という言葉の奥には「学校へ行きたくない」という思いがあるかもしれない。子どものSOSに気付くことが大切だと指摘する。ただ、「子どもはマイナスな気持ちを親には言いづらく、徹底的に隠す」とも。学校の先生、養護教諭など「聞ける人が話を聞いてあげることが大事」と言う。

 子どもへの対応例として「TALKの原則」を挙げる。「あなたを心配している」ということを言葉で伝え、気持ちを尋ね、話に耳を傾け、本人が安全と感じられる居場所を確保する。

 不登校の子への対応を巡っては、2017年施行の教育機会確保法、19年の文部科学省の通知で学校復帰を前提とせず、多様な教育機会を確保する必要性が指摘されている。だが今も、学校へ行くのが当たり前で、行かないと将来の道が閉ざされてしまうという雰囲気があり、「それが子どもを苦しめている。何とかしないといけない」と強調する。

 子どもたちへは「無理して学校へ行かなくてもいい。今、自分が安心と思える場所でゆっくりすればいい。学校はあくまでも手段。学ぶことはどこでもできるので、大丈夫」と呼び掛けている。