ショットを放つ大谷=28日午後7時50分、有明テニスの森公園

 強く、鮮やかに、パラリンピックデビューを飾った。車いすテニス女子の大谷桃子(おおたにももこ)(26)=栃木市出身、かんぽ生命=が、ストレート勝ちでシングルス1回戦を突破。記念すべき1勝にも「プレー的に全然、納得いかない」。金メダルを狙う大器は、まだまだ満足していない。

 マリシュカ・ベンター(南アフリカ)との初対戦。ほとんどデータが無い相手に、自分のスタイルを貫いた。

 どんな強打も拾う。球の回転や速さ、コースを巧みに変えながら、相手を崩す。「見ている人は退屈かもしれない」。控えめに話す、その「型」こそがシングルス世界ランキング5位まで上り詰めたゆえんだ。

 ラリーから空いたスペースを確実に突き、第1セットを6-1で取る。だが「緊張して、最後まで良くならなかった」。初めて立った大舞台の重圧が終始、付きまとった。

 第2セット序盤はサーブやリターンのミスが重なり、2-2と一進一退。プレーが止まると、素振りを繰り返す。調子は戻り切らないが「6ゲーム取られなければ負けない」と気持ちを切り替えた。

 苦しい時は「安心感があるショット」に頼った。得意の縦回転の球で攻め、4連続でゲームを奪った。

 試合時間は、わずか53分。圧勝にも「あまりうれしくない」と表情は曇ったままだ。ただ、サイドラインぎりぎりに決まるフォアハンドのリターンは、「早い展開の攻めが必要」と東京のために磨いてきた。そのしびれるような「一撃」が随所に決まっていた。

 第5シードとして臨む夢舞台。「初戦さえ突破してしまえば、落ち着いてプレーできる」。長い戦いは始まったばかりだ。最後は満面の笑みで、メダルを掛ける姿が見たい。