陸上関係者から「低速トラック」と指摘されているカンセキスタジアムとちぎ=7月4日、宇都宮市西川田2丁目

 来秋の第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」に向けて栃木県が宇都宮市西川田2丁目に整備した県総合運動公園陸上競技場(カンセキスタジアムとちぎ=カンスタ)について、県内陸上競技関係者から不安視する声が出ている。トラック(走路)が軟らかく、他会場に比べて短距離種目の記録が出にくいためだ。トラックは第2競技場との硬さの違いも指摘され、国体後の大規模大会誘致を懸念する声もある。

 カンスタで4月下旬に開かれた「第2回栃木陸上競技協会記録会」。大学、高校中心に県内トップ選手も参加したが、短距離種目で好記録は出なかった。栃木陸協強化副部長で作新学院大の相馬聡(そうまさとし)監督は「去年から100メートルで誰もシーズンベストを出せていない」と嘆いた。

 同じ選手の記録を見ると違いは明らかだ。佐野市運動公園陸上競技場で5月上旬に開催された「第1回栃木県スプリント記録会」はほぼ同じ風の条件。しかし、100メートルに出場した男女6人の記録はカンスタに比べて0秒08から0秒18それぞれアップ。0秒1差で相当違うとされる種目で明確なタイム差が表れた。

 記録が低調な理由として、多くの関係者が指摘するのがトラックの硬さだ。一定の硬度があるとスタート時に反発力が生まれやすい。カンスタは日本陸上競技連盟の第1種公認を得ているが、硬度は被覆材の製品設計値で判断されるため、実際に完成した走路の硬度は確認されていない。だが、関係者の評価は「低速トラック」で一致。真岡女子高の大山裕之(おおやまひろゆき)監督は「軟らかくて選手は戸惑ったと思う」と代表した。

 長くメイン競技場として使われてきた「第2競技場」との硬度の違いを問題視する声もある。宇都宮文星女高の海老沢良仁(えびさわよしひと)監督は「第2の方が硬い」と断言。選手目線で見ると、アップ会場として十分な役割を果たせない可能性もあり、「硬さを同じにそろえてほしい」と訴える。

 全国大会では出場標準記録が設定される場合が少なくない。県中学体育連盟陸上専門部は、全国大会予選を兼ねた7月26、28日の県総体を佐野で開催した。相馬監督も「来年は第2陸上競技場での大会開催を考えたい」とカンスタ離れの動きも見られる。

 “オール栃木”の旗印の下、200億円あまりを投じて完成した施設。県はこれまで、関係者らの意見を聞き入れ、トラック周辺2カ所に仮設の水場を設置したり、砂場の砂を入れ替えたりしている。

 トラックの問題も県教委スポーツ振興課は「耳を澄まして聞く必要がある」としている。だが、一定の期間と多額の費用が掛かるため改修工事には否定的だ。