車いすを巧みに操りショットを放つ真田=27日午後0時30分、有明テニスの森

初戦を制した真田。試合後に大きくガッツポーズ=27日午後0時50分、有明テニスの森

車いすを巧みに操りショットを放つ真田=27日午後0時30分、有明テニスの森 初戦を制した真田。試合後に大きくガッツポーズ=27日午後0時50分、有明テニスの森

 無観客のセンターコートに、雄たけびが響く。9日間にわたる車いすテニスの戦いは、真田卓(さなだたかし)(36)=那須塩原市出身、凸版印刷=の圧勝で幕を開けた。男子シングルス1回戦でストレート勝ち。日本選手の一番手としても「良い初陣がきれた」。試合中は崩さなかった表情が、ようやく笑顔に変わった。

 シングルス世界ランキング30位のカルロス・アンカー(オランダ)に対し、同9位の真田が力の差を見せつけたが「ゲームカウント以上にタフな試合」と振り返った。

 第1セットの滑り出しで、相手の粘りに苦戦。力強いショットを、トップスピンの山なりの打球でしぶとく拾われ、決め切れない。3回のサーブミスも響き、第1ゲームを奪われた。

 動きがさえない。この日は、午前11時時点で気温33度。選手のアップ後、暑さ対策でコートの屋根が閉じ、空調が効いた中で試合が始まった。「予想外。ボールの感触、弾みも確かめながらだった」

 暑さと引き換えに感覚が鈍ったが「徐々にコートにも慣れた」。第2ゲームは早い展開で勝負。初出場の25歳の戦術には付き合わない。サーブリターンや角度を付けたショットで、嫌な流れを完全に断ち切った。「自分には10年のキャリアがある」。ロンドン、リオデジャネイロ大会を知る男の経験値はだてじゃない。

 持ち前の強打で、6ゲームを続けて奪取。“らしさ”を取り戻すと、第2セットも勢いは止まらない。一本、一本のストロークに合わせ、声も出てきた。気合とパワーで、最後まで押し切った。

 両腕を広げて、大きくガッツポーズ。「緊張して、すごく興奮した1日だった」。1年の延期を経て、待ち望んだ大舞台を純粋に楽しんでいるようだ。

 次戦の29日から、連日のようにシングルス、ダブルスが続いていく。「ゆっくり休んで、次に照準を合わせる」。一つずつ、確実に、悲願のメダルに近づいていく。