パラリンピックのシンボルマーク「スリーアギトス」のフラッグの下を、マスク姿の人がひっきりなしに行き交う。コロナ禍による緊急事態宣言下とは思えない光景だった。

 25日午後、パラリンピック会場の一つ、国立代々木競技場に近い渋谷の街で、多くの人出を見掛けた。

 路上で若い男女のグループがマスクを外し、楽しそうに話し込んでいる。手にはタオルでラベルを覆った缶ビール。「路上飲み」を目の当たりにし、感染拡大への不安が増した。

 4回目となる緊急事態宣言が発令中の東京都で、24日に開幕した異例のパラリンピック。25日の都内の新規感染者数は4228人と深刻な状況が続く中、水泳やゴールボール、卓球などで真剣勝負が始まった。

 五輪と同様に外部との接触を断つ「バブル方式」が採られているが、選手は介助が必要な場合もあり、距離を保つのが困難な側面もある。大会運営は難しいかじ取りが求められる。

 私たち報道関係者は、4日に1回のPCR検査が求められている。結果は翌日にオンラインで届く。これまでに2回検査を受け、いずれも陰性だった。胸をなで下ろしつつ、一層気を引き締めている。

 スリーアギトスはラテン語で「私は動く」を意味し、困難があっても諦めずに限界に挑み続けるパラリンピアンを表現している。

 パラの選手は、感染すれば重症化しやすいとされる基礎疾患のある人も多い。それでも開催に賛否があることを理解し、感染防止へ最大限の注意を払って、最高のパフォーマンスを誓う。

 大切なのは命と健康。一人一人がルールを守って動くことが、競技者たちの思いを後押しする。