理事会後、報道陣に囲まれる小菅理事長。この後、下野新聞社の単独取材に応じた

 真岡市土地改良区(栃木県真岡市田町)の多額使途不明金問題で、道義的な責任を取り31日付で辞任する小菅保(こすげたもつ)理事長(74)が24日、理事会後に市内の自宅で下野新聞社の取材に応じた。辞任の経緯や全容解明を後任に託す思いを聞いた。

 -この時期に辞任するのはなぜか。

 「もう少し解決への道筋を付けてから辞任するつもりだったが、精神的にも疲れてしまった。改良区の再生委員会の意向もあった。億単位の事業費が見込まれる大内地区の五行川にある堰(せき)の改修など、不明金以外の課題も山積していたので解決したかった。道半ばで辞めることになるのは残念で、組合員に対して心苦しい」

 -不明金があることを知ったのはいつか。

 「初めて知ったのは、2020年3月の県の定期検査前だ。会計業務を担っていた元臨時職員から約4千万円の使途不明金があることを伝えられた会計担当の理事から説明があった」

 -その後の対応は。

 「改良区を守りたい一心で、私を含む複数の理事らでお金を出し合って穴埋めしてしまった。問題を隠したままではいられないので、今年2月に県芳賀農業振興事務所へ相談した」

 -問題を把握してから相談まで約1年たっている。

 「当時は組織を守るためには、自助努力で何とかできないかと考えてしまった。放っておけばもっと大変なことになっていたが、今思えば早く相談していればよかったと反省している」

 -不明金への対応は。

 「内部調査委員会を設置し、関係者への聞き取りなどを行った。元臨時職員は『合併時(市土地改良区が発足した08年)から穴が開いていた』と説明している。弁護士に調査を依頼し、刑事告訴などに向けた精査が進められている」

 -問題の背景には会計のずさんさが浮かぶ。

 「私が理事長に就任する16年以前から、会計業務を元臨時職員1人が担当していた。元臨時職員が通帳などを持ち出して外出する際、他の事務局職員が外出先やその理由を確認していなかったことなどは問題だ」

 -今後について。

 「全容解明と組織の立て直しは後任の理事長らに託したい。問題を真摯(しんし)に受け止めて、組合員の信頼回復を図ってほしい。農業を取り巻く現状は厳しいが、若い組合員にも育っていってもらいたい。一組合員として協力できることがあればやっていきたい」

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 小菅理事長は真岡高、東京農業大を卒業後、家業の農業に従事。合併前の旧山前中部土地改良区時代の約30年前から理事を務めている。2016年から現職で現在2期目(1期4年)。芳賀郡市土地改良区協議会副会長。