県全体の遺族会員数

県内市町別の遺族会員数推移

県全体の遺族会員数 県内市町別の遺族会員数推移

 太平洋戦争などの戦没者遺族が県内各市町などでつくる遺族会の総会員数は2020年度、1万977人(那須塩原市を除く)で、15年度からの5年間だけで約5千人減少したことが14日までに、下野新聞社のまとめで分かった。約4万人とされるピーク時からは4分の1近くまで減少した。戦後76年となる中、会員が高齢化し、会の存続が危ぶまれている。新型コロナウイルス感染拡大で活動も停滞しており、戦争の記憶の継承が急務となっている。

 県の調査によると、太平洋戦争に伴う本県の戦没者数は4万1817人。遺族会は戦後、戦没者の慰霊や遺族への生活支援を目的に全国で創設された。県遺族連合会によると、県内会員数のピークは戦没者の親世代も所属していた昭和40年代という。

 各市町の遺族会の2015年度の総会員数は1万6132人。20年度までの5年間で約30%減少(那須塩原市を除く)した。市町別では大田原市が約42%と最も減少した。影響は既に表面化し、宇都宮市や大田原市で地区遺族会が解散したり、矢板市が慰霊碑周辺の清掃を外部委託したりするなどしている。

 新型コロナ感染拡大も会の活動に影を落とす。市町遺族会による東京・九段北の靖国神社参拝など慰霊行事の中止が相次いでいる。

 県遺族連合会木村好文(きむらよしふみ)会長(78)は会員の減少に「残念だ」と漏らす。自身も父親をニューギニアで失った。「男社会で歯を食いしばり育ててくれた母の姿を覚えている。戦争のむなしさや苦しみを伝え続けるため、絶対に会を無くしてはいけない」と力を込める。

 こうした状況に対し日本遺族会は、孫、ひ孫世代による青年部の設立を全国に呼び掛けている。本県を含む38支部が結成されたが、戦没者や戦争を知らない世代へのアプローチは年々、難しくなっているという。

 県護国神社の権禰宜(ごんねぎ)で、戦没者慰霊に詳しい皇学館大の中山郁(なかやまかおる)教授(54)は「活動が停滞する中でも高齢化は進む。コロナ後にどれだけの活動を再開できるか計りがたい」と危惧する。その上で「遺族だけでなく今後は地域の枠組みの中でも慰霊を継承し、戦争の問題を考える方向にシフトしていくべきだ」と提案した。