新型コロナウイルスワクチン

 新型コロナウイルスワクチンの不足で混乱が続く、企業、団体などを対象とした職域接種で、那須塩原市や日光市の観光関係者が困惑している。国の旗振りに従い準備して申請したものの、想定していた夏休みに間に合わず、自治体の一般接種が進むにつれ、職域接種のメリットが薄くなる可能性もある。同様に申請した栃木県内の大学では接種状況の明暗が分かれている。

 「コロナ対策の充実は、観光地にとって大きなPR材料。毎日、国からの連絡を待っている」。那須塩原市観光局の和気広美(わきひろみ)さん(51)は、落胆を隠せない。

 那須郡市医師会の協力を得て医師らを確保し、関連する観光協会と組合の従業員ら約1600人を対象に、6月中旬に申請した。

 「自分たちが準備すればワクチンを打てる、すぐにやろうと話がまとまった。スピード感を求めて国は職域接種を募ったはず」。感染者数も再び増加。「せめて紅葉の頃には」と期待するが自治体の一般接種とどちらが早いか、というレベルになりつつある。

 「夏休みには観光客の受け入れ態勢を整えるはずだった」。日光温泉旅館協同組合の赤澤正(あかざわただし)理事長(55)は肩を落とす。

 7月15日から旅館・ホテルの関係者らを対象に始まるはずだった接種は、7月下旬、8月上旬と延期が続き、現時点では20日以降の「予定」だ。「国は早く見通しを示して」と要望した。

 「ありがたいことに今のところ計画通り接種できている」。白鴎大の渡辺博記(わたなべひろき)事務局長(62)は胸をなで下ろす。学生や教職員ら4500人を対象に、2日から2回目の接種に入った。

 「医療従事者の確保と同時並行的に申請するほど急いで良かった。学生の対面授業や教育実習などの面で接種の意義は大きい」

 一方、宇都宮大は接種が開始できていない。夏休みを活用し9月までの接種を目指すが、いまだ不透明だ。打ち手は外部委託で確保した。担当者は「申請のタイミングで打てた、打てないの差が出てしまっている」と不満感をにじませる。

 県によると、県内で企業や団体、教育機関など74件の申請があり、承認32件、保留42件となっている。