スポーツクライミング男子複合で4位に終わった楢崎智亜=5日午後10時、青海アーバンスポーツパーク

 これが五輪の難しさなのか。今大会から正式種目に採用されたスポーツクライミングの楢崎智亜(ならさきともあ)は圧倒的な優勝候補に推されながら、まさかの4位。5年間、狙い続けた初代王者を逃し、「後悔しているポイントがたくさんある」とぼう然と壁を見つめた。

 スピード、ボルダリング、リードの3種目の順位を掛け算し、その値の低い選手が勝者となる複合種目。1種目目のスピードの決勝が痛恨だった。

 同種目予選1位選手が棄権し、事実上の決勝戦と思われた準決勝を快勝。しかし決勝はスタート直後に足を踏み外し、「抑えて勝てる相手だったが、この場で自己ベストを出したいという欲が出てしまった。勝ちに徹することができなかった」と2位に終わった。

 スペシャリストとして無類の強さを誇るボルダリングは「ムーブを決め切れなかった」。難関課題をクリアできず、3課題のうち1完登で種目3位。勝負の鍵を握ると踏んだ2種目を終えて2位の好位置に付けたものの、4選手が団子状態で「ほぼ優勝を決めた状態でリードを迎えたい」とのプランは崩れた。

 最終種目のリードは終盤に差し掛かったところで落下し、6位と振るわなかった。勝負に「たら・れば」はないが、スピードで1位であれば優勝していただけに悔いが残った。

 「この機会に競技の人気や知名度を上げたい」。クライミング界を背負う自負を持って臨んだ舞台だった。感じたことのない重圧や会場の雰囲気に「いつも通りのパフォーマンスを出すのが難しかった」と落ち込むが、世界王者として地元五輪を盛り上げた功績は決して色あせない。

 この苦い経験は、また彼を強くする。最強の証明は、3年後でも遅くない。