スマートフォンを活用し、フェイスブックで在日ベトナム人に情報を届けているトーさん=足利市内

 新型コロナウイルスワクチンの情報を、いかに在日外国人に届けるかが課題となっている。ベトナム人医師が栃木県を含む全国の在日ベトナム人約2千人に行った調査では、約6割が無料で接種できることを知らなかった。県国際交流協会は、会員制交流サイト(SNS)などを通じて積極的に発信することで、正しい情報の周知に取り組んでいる。

 調査は京都府のファム・グェン・クィー医師らが実施。全国の在日ベトナム人コミュニティーと協力し今春、オンラインで行った。

 回答者のうち、9割以上が接種を希望した一方、情報不足について約65%が「とても心配」か「心配」とした。「郵送される案内が読めない」ことを不安視する人も約半数に上った。

 一部の自治体では、多言語で対応できる相談窓口を設置するなど、外国人向けの対応を進めている。しかし、クィー医師は「相談窓口を作っても、その電話番号を知らない可能性もある」と指摘する。

 このため、県内で情報格差の改善に向けた動きが出ている。

 県国際交流協会に登録するボランティア「外国人キーパーソン」は、同協会からのワクチンの情報をSNSなどで発信している。6月時点で18の国と地域出身の50人が登録している。

 ベトナム出身の足利市、会社員トー・タン・チュクさん(34)は、フェイスブックを主に活用する。5千人とつながっている個人アカウントや、県内外のベトナム人ら5万人以上が見るページで情報を届ける。

 鹿沼市国際交流協会の外国人相談員でもあるブラジル出身の行本(ゆくもと)リジアさん(60)は、窓口で相談に応じる。他県との接種速度の差や、母国語でも聞き慣れない言葉で説明される副反応などを不安に思う外国人は多いという。行本さんは「接種後も感染対策を続けるよう促すなどもキーパーソンの役割の一つ」と話した。

 クィー医師は「各国のコミュニティーのリーダーとの協力は非常に重要」と指摘。「言語や情報の壁があるという社会的な背景に配慮が必要だ」と訴えた。