インタビューに応じる栃銀の黒本頭取=宇都宮市の栃銀本店

 -頭取就任から5年間をどう振り返るか。

 「2016年にマイナス金利が導入された中、その年の6月に就任した。政策の変更、低金利の環境の中で丸々5年が経過した。預金を集めて融資をする預貸業務が収益の柱だったが、(銀行の)存在意義というか軸足が変わらざるを得なかった。預金してくれるお客さまについては当然利息が付かなくなる。融資の金利も低くなる。それがこの5年間で当たり前になっていった。そこでコロナ禍が起きた。(顧客の)資金繰りについては、借り入れという部分で低金利は恵まれた環境にある。反面、(日銀の)2%の物価上昇目標には到底届いていない。デフレ経済の中でのコロナ禍となり、これからも難しい状況は続く」

 「コロナで非対面による取引が非常に増えた。デジタル化は従来から想定はされていたが、相当加速した。ネットバンキングや、金融と情報技術(IT)を融合させたフィンテックなど、以前はお客さまがサイバー攻撃へのリスクといった警戒感を抱いていた分野が、必然的に必要なツールとして普及が進んだ。われわれも説明する機会を、お客さまに設けてもらえるようになって、ネットバンキングの利用、通帳レス、ネットによる投資信託の取引が進んできている」

 -20年度からの第10次中期経営計画への進捗(しんちょく)は。

 「始まって1年3カ月。行内に意思が浸透してきた。コロナ禍におけるお客さまの本業支援について、企業の財務改善支援は本部の企業支援室で対応していたが、4月からは事業支援部として独立部で踏み込んだお手伝いができるようにした。コンサルティング支援は銀行員だけでのノウハウでは足りない。専門のコンサルティング会社から人を呼んで行員がアドバイスを受けている。(子会社の)『とちぎんキャピタル』は、20年10月から『とちぎんキャピタル&コンサルティング』として組織変更した。認定経営革新等支援機関として、事業計画作りや再構築補助金の申請補助に取り組み、効果が出始めている」

 「『栃銀はよそから提案されない提案や情報提供をしてくれる』との声を聞く。マイナス金利以前から続いていた融資のボリュームを増やす営業スタイルから、お客さまの課題解決とその先に銀行のビジネスチャンスがあるという意識が定着してきている。17年からの第9次中期経営計画で、お客さまに選ばれ続ける銀行として年度末の預金残高目標、融資量の残高目標を廃止した。しかし、何十年も養ってきたさがで、働きがいや満足度の評価で年度の融資の増加額であるとか、1社に対する融資量、借入額の増加へのこだわりを拭い去ることができずに9次が終わった。10次で『量的から質的に』という機運が定着した」