森澤雄司部長

 栃木県内の新型コロナウイルス感染者数が1日当たり100人を超えた27日、自治医大付属病院感染制御部の森澤雄司(もりさわゆうじ)部長(55)が下野新聞社の取材に応じ、感染者急増の要因として、感染力の強い変異株「デルタ株」の急激な広がりを挙げた。感染者の傾向を「50代以下の重症者が目立つようになっている」と指摘。「このまま感染が拡大すれば、一般の診療にも影響して医療崩壊につながりかねない」と警鐘を鳴らした。

 政府のまとめによると、栃木県は26日時点で65歳以上の約60%がワクチンを2回接種し終えた。一方、全年代では約18%にとどまる。森澤部長は「ワクチンが間に合っていない50代以下に、デルタ株が入り込んでいる」とみている。

 「(重症化リスクの高い)65歳以上のワクチン接種が急速に進んだため、『コロナはもう大丈夫』という誤ったメッセージが伝わってしまったのではないか」とも指摘した。自粛疲れが重なり、人の流れが増えたことで感染の拡大につながっている可能性もあるという。

 50代以下の重症者が増えてきたことについては、「感染者が増えたことで重症者が増えたのか、デルタ株自体が重症化のリスクが高いのか、はっきり分からないところがある」と明かした。ただ、重症の患者には人工呼吸器や人工心肺装置ECMO(エクモ)が必要で、治療に割かれる人手も増える。

 森澤部長は「このままの勢いが続くと、医療にかかる負荷はこれまでとは桁違いに高まるかもしれない。必要な人に人工呼吸器などが回らない状況も起き得る」と危惧した。

 対策については「残念ながら、引き続き(不要不急の外出を控えるなど)基本的な感染対策を続けるしかない」。最も有効だと考えられるワクチンについては、2回接種しなければ十分な免疫が得られない上に、急速に接種を進めるだけの供給量は確保されていない。「東京五輪は自宅で観戦していただき、夏休みでも旅行や帰省は自粛が必要だ」と訴えた。