ニュージーランドと引き分けた落合(左から3人目)ら日本=大井ホッケー競技場

 試合終了のホーンの瞬間、MF村田和麻(むらたかずま)は膝に手をつき、DF霧下義貴(きりしたよしき)がうつむきながらスティックでピッチをたたく。

 メキシコ大会以来53年ぶりの五輪。ホッケー男子代表「サムライジャパン」は世界ランキング8位のニュージーランドに2-2で引き分け、3戦目にして今大会初の勝ち点獲得。だが選手たちに笑顔はない。「勝てる試合だった」。DF大橋雅貴(おおはしまさき)の言葉がチーム共通の思いだ。

 立ちはだかる敵は全て格上。失うものは無い。リーベ栃木勢は大橋がこの日も低い姿勢でドリブルを食い止め、MF落合大将(おちあいひろまさ)は巧みに選手間のバランスを取る。第2クオーター4分に村田がサークル内で得意のドリブル突破を試みれば、後半には霧下もインターセプトからの逆襲を演出した。

 世界15位の日本はここまで世界1位のオーストラリアに3-5、世界7位で前回リオデジャネイロ五輪覇者のアルゼンチンに1-2で惜敗。もう欧米勢に歯が立たなかった頃の日本ではない。だからこそ善戦では満足できない。

 「ここまで惜しい試合ができていると、勝ちたい気持ちが湧いてくる」と落合。自陣から細かくパスをつなぐビルドアップやカウンターで敵陣に迫り、強化合宿や遠征では欧州勢に勝利を収めた。村田も霧下も「どこと当たっても勝てる可能性を感じる」と気後れしない。

 東京五輪への選手輩出、栃木国体の優勝を旗印に15年に結成したリーベ栃木が、日本代表へ4人を送り込み、それぞれがピッチで躍動している。予選リーグは残り2戦。金メダルの目標はぶれない。「あと2戦ではない。決勝までいくつもり」と霧下。真夏の東京で完全燃焼し、経験という財産を持ち帰る。