スポーツ界を中心に、日本と外国、二つの国にルーツがある人たちの活躍が目覚ましい。テニスの大坂(おおさか)なおみ、バスケットボールの八村塁(はちむらるい)、陸上のサニブラウン、ゴルフの笹生優花(さそうゆうか)の各選手らだ▼日本社会は今、その存在を当たり前のように受け入れている。どこかよそ者扱いしていた時代の行きすぎた「同質文化」が少しずつ変化している▼日本人の父、米国人の母を持つ芸術家の歩みをたどる展覧会を見る機会があった。石の抽象彫刻や、和紙と竹でかたどる「あかり」シリーズで有名なイサム・ノグチ(1904~88年)だ。父は詩人の野口米次郎(のぐちよねじろう)だが、作家の母に育てられた▼日米両国に帰属するアイデンティティーの問題が芸術活動に影を落とすことがあった。広島市に設置する原爆死没者慰霊碑のデザインは、米国人の血が流れていることを理由に、採用されなかったという▼日本に根強くある「純血主義」は、外国のルーツを持つ人たちに、つらい体験を強いている。国籍の問題もある。今では二重国籍を認めている国は多いが、日本では外国籍を取得すれば日本国籍を失う▼夫婦別姓が選択できないこと、性的少数者に対する法整備が進まないことなども同質文化の延長線上にある。人と違うことを許容しない社会では、世界の潮流から置いてきぼりになるのではないか。