スポーツでホームゲームは、地元観客の応援が選手にとって最高の後押しとなる。開幕まで1週間を切った東京五輪は、国全体がホームとなり、選手が普段以上の力を発揮できる絶好の舞台となるはずだった▼だが新型コロナウイルス禍により、ほとんどが無観客に。選手はもちろん、身内の晴れ舞台に駆け付けようとしていた家族は、さぞ残念だろう▼「行こうと思っていたけど泣く泣く」自宅観戦を決めた、宇都宮市在住の加藤彩乃(かとうあやの)さん(28)もその一人。旧姓は黒後。同市出身の女子バレー代表、黒後愛(くろごあい)選手(23)の姉だ▼今でもよく連絡を取り合う。代表入りを「一つ夢がかなった」と自分の事のように喜ぶが、あえて競技の話題は避けている。夢に見るほどバレー漬けの毎日を送る妹が安らげる「居場所」になろうとしているからだ▼自身も国学院栃木高、宇都宮大で活躍した元バレー選手。強打だけでなく小さい頃から鍛えたレシーブ力のあるオールラウンダーで、周りの選手を元気づけられる笑顔が一番のチャームポイント、と妹を評する。その思いを込めて「愛らしくね」と励ました▼「メダルを取れればバレー界全体が盛り上がる」と経験者らしい希望を膨らませ、メダリストになった妹が地元に凱旋(がいせん)する試合を観戦することを夢見る。それは県民全体の願いでもある。