開店準備をするスポーツカフェ「ラウンド87」の簗嶋代表。五輪は開幕直前だが、苦境が続く=14日午後、宇都宮市春日町

 東京五輪の開幕を23日に控え、栃木県内のスポーツカフェやバーが苦境に立たされている。新型コロナウイルス禍で過去大会のようなにぎわいは見込めず、人が集まるパブリックビューイング(PV)への風当たりも強い。売り上げが例年の2割にとどまり、「今年店がなくなってもおかしくない」と吐露する業者も。スポーツカフェの経営では採算が見込めず、キッチンカーに衣替えした店もある。

 2002年5月にオープンした宇都宮市春日町のスポーツカフェ「ラウンド87」。70インチ1台、50インチ3台の大型テレビを備え、サッカー・ワールドカップ(W杯)や本県プロスポーツチームの試合の度に、大きなにぎわいをみせてきた。

 日本が史上初の8強入りを果たした2019年のラグビーW杯では、ユニフォーム姿のファンが集まり、立ち見も出るほどだった。その流れで迎えるはずだった自国開催の五輪への期待は、コロナ禍で一変した。

 「まず、人を集められない。『家で済むものは家で』と生活スタイルが変わり、多くの人はテレビで観戦する。きっと客足は戻らない」。店を営む簗嶋正真(やなしまただまさ)さん(49)は肩を落とす。

 店内は立ち見を含めて200人収容できる。コロナ対策で今は最大40人に制限しているが、昨年はサッカーの国際大会で3~4人しか入らなかった日もあった。「このままでは本当にやばい」。危機感は募るばかりだ。

 足利市田中町でスポーツカフェ「92」を営む斎藤邦夫(さいとうくにお)さん(47)は昨年6月、キッチンカーでの営業に切り替えた。パスタなど本格的な洋食メニューを売りに、レジャー施設やサッカーJ2栃木SCのホーム戦などでの営業に力を注ぐ。

 「コロナ禍が終わればまたスポーツカフェを再開したいが、先が見通せない」と苦しい胸中を語った。

 多くのスポーツファンが集まる宇都宮市中心部の「アイリッシュパブ ケルツ」は、五輪の一部競技を店内で放映予定だ。担当者は「店内は消毒など感染対策を徹底している。選手にエールを送ってほしい」と願った。