離れて暮らす親が無事、新型コロナウイルスのワクチン接種を終えた。ドタバタ感は拭えないが、働く世代にも接種の機会が近づいてきた。一日も早く、自由に旅行や外食を楽しみたい▼収束後を見据え、業界も着々と準備を進める。日光市や那須烏山市などの県内4酒蔵からなる「県酒蔵酔って見っけ協議会」は訪日客を呼び込もうと、国税庁の補助を受け情報発信や外国語での説明など課題に取り組む▼日本酒の需要は右肩下がり。一方、歴史ある酒蔵には概して伝統的な家屋が残る。日本独特の酒造りを見、酒蔵や家屋で酒を味わい、さかなや和食も堪能できたなら、食文化や暮らしぶりも含め日本を実感できるに違いない▼協議会の外池茂樹(とのいけしげき)会長が社長を務める酒造会社は益子町にある。益子焼の店や工房を訪れた後にその器で地酒を飲めば、忘れられない旅になるだろう▼外池会長は「自分たちは刺し身のつまか、わさび。なくても刺し身だが、あると料理になる」と例える。酒蔵のあるエリアが、酒蔵を生かしてさらに魅力を醸し出せるといい▼課題は多い。飲めば運転できない。東京から近いとはいえ、JR宇都宮駅などからの足をどうするか。そして全国では、同じ狙いを定めた酒蔵が水面下でいくつも動きだしている。選ばれる酒蔵になるために、知恵が試されている。