使途不明金の対応を協議するため理事会に向かう真岡市土地改良区の理事ら=6月11日午後、真岡市

 栃木県真岡市土地改良区(真岡市田町、小菅保(こすげたもつ)理事長)の多額使途不明金問題で、会計業務に携わっていた経理担当の元職員女性(73)が10日までに、市内の自宅で下野新聞社の取材に応じた。2008年から今年6月末に退職するまで約13年にわたり勤務した元職員は「(改良区が依頼した)弁護士が調査中なので詳しいことは言えない」と問題の原因や経緯について明言を避ける一方、「私は被害者。着服は一切ない」と不正への関与を強く否定した。6月下旬に問題が表面化して以降、元職員が報道機関の取材に応じたのは初めて。

 元職員は旧真岡市東部土地改良区や旧真岡西部土地改良区で40年ほど会計を担当してきた。10地区の改良区合併で08年に発足した真岡市土地改良区でも、これまでの経験を買われ臨時職員として引き続き経理に従事。今年3月末で退職予定だったが、問題の発覚で調査が必要となり同改良区が3カ月間延長したという。

 下野新聞社の取材に対し、元職員は不明金が発生した要因について「(会計は)皆でやってきたこと。お金が合わない原因は弁護士が調査しているので、私のほうから答えられない。余計なことは話せない」などと調査中を理由に具体的な説明は拒んだ。

 同改良区の内部調査によると、元職員は不足が生じている会計に親類や知人から借金するなどして穴埋めし発覚を免れていたり、現金出納簿を操作して銀行の残高と合わせたりしていたなどとされる。

 これらの点について「今は答えられない。はっきりしたらお答えできる」などと繰り返しつつ、「本当は言いたいが、周りのこともあるので答えられない」と含みも持たせた。

 今後弁護士が行う聞き取り調査には「弁護士が調べてきたことに対して答えることになっている。誠実に対応する」と協力する考えを示した上で、「私は被害者。夜も眠れない。お金の着服は一切ない。断じて言う。改良区の内部調査にもそう言っている」と語気を強めた。

 同改良区は2月下旬、数千万円の使途不明金があると県に相談。土地改良法に基づき県が同下旬~3月初旬、特別検査に入り関係書類の調査や事務局職員らの聞き取りを行った結果、約9200万円の使途不明金が判明した。

 同改良区は少なくとも6千万円超は元職員の会計操作などが原因とみて法的対応を視野に弁護士へ調査を依頼する一方、担当理事らで新たに再生委員会を立ち上げ県に提出する改善報告書の再提出に向けた詰めの作業を進めている。