恩師の墓前に五輪への決意を伝える榎本=宇都宮市内

 「楽しんでくるから、天国から見ていてね」。飛び込みの東京五輪代表で栃木県宇都宮市出身の榎本遼香(24)=県スポーツ協会=が3日、同市内で恩師の墓前に手を合わせた。10年前の別れから大事な大会前に必ず訪れてきた場所。「ちゃんと目標かなえてくるから」。2人の夢だった五輪出場の報告と、決意を伝えた。

 器械体操をしていた小学生の榎本を飛び込みの世界に導いたのが、当時作新学院高教諭で日本水泳連盟飛び込み委員などを務めた馬場内登志絵(ばばうちとしえ)さん(享年42)だった。「きれいな演技」をモットーに数々の選手を育て、榎本も馬場内コーチの下で実力を伸ばした。だが榎本が中学3年で全国大会を制した直後の2011年9月、突然の訃報がもたらされた。

 五輪を間近に控えたこの日、榎本は母の千秋(ちあき)さん(56)と共に墓前へ。手には馬場内コーチが生前好きだったヒマワリとカフェラテ。缶には「オリンピック行ってきます‼ はるか」と書いた。

 「この子なら五輪にいけるかもしれない」。そう期待をかけてくれていた。手を合わせながら「先生が言っていたこと、かなっちゃいましたね」と心の中で話し掛けた。

 目標は個人で決勝進出。シンクロは「楽しみにしていてください」と伝えた。練習は厳しかったが、試合では優しかったコーチ。「練習通りでいい。やってきたことを出せばいい」。あの頃のように、そう言ってくれている気がした。