SFの古典といわれる米作家アイザック・アシモフの短編集「われはロボット」(1950年刊行)は冒頭に「ロボット工学3原則」を掲げる▼「ロボットは人間を傷つけてはならず、また危害が人間に加えられるのを見過ごしてもいけない」「前項に反しない限り、ロボットは人間の命令に従わなければならない」「前2項に反しない限り、ロボットは自己を守らなければならない」▼人工知能(AI)を持つロボットはさまざまな問題を人類社会に突き付ける。アシモフのような知恵者がいるのだから、乗り越えられると同書を読んで思った。しかし、現実は正反対に向かっている▼国連安全保障理事会の専門家パネルの報告書によると、内戦下のリビアで昨年、暫定政権による攻撃後の無人機の残骸がトルコ製「Kargu-2」と判明。AIが攻撃の判断をする「自律型致死兵器システム(LAWS)」と呼ばれる殺人ロボット兵器だ▼この兵器を宣伝する動画を幾つかウェブで見た。四つの回転翼で高空をホバリングする小さな白いドローン。カメラが敵を捉えると、猛スピードで降下して自爆する▼殺人ロボット兵器の全面禁止に向け、話し合いが進められている。だが各国の意見が対立し、禁止のめどは立っていない。技術の進歩に人類の知恵が追いつかなければ未来は暗い。