頑張っているのに、音読が苦手、漢字が書けない、計算ができない-。これらの症状が子どもに見られたら、もしかしたら発達障害の一つ、学習障害(LD)かもしれない。就学後に気付くケースが多く、勉強に大きな支障を来すため、周囲が正しく理解し、その子に合った支援や工夫が不可欠となる。とちぎっ子発達クリニック(下野市)の小黒範子(おぐろのりこ)院長にLDについて聞いた。

小黒範子院長

 小黒院長によると、LDは医学用語では限局性学習症と呼ばれる。知能は正常で、聴力や視力に異常がなく、学習環境や本人の意欲にも問題はないのに、読む、書く、計算するといった特定の領域だけがうまくできない。原因は本人の努力不足や育て方、環境のせいではなく、脳の機能障害と言われるが詳しくは分かっていない。就学後に親や先生が気付くことが多く、学習内容が難しくなるにつれ、学習の遅れが出てくるのが特徴。特定の科目で2年以上の遅れがあるとLDの可能性がある。

 症状は大きく分けて、「読字障害(発達性ディスレクシア)」、「書字障害」、「算数障害」の三つに分けられる。最も多く見られるのが「読字障害」で、米俳優のトム・クルーズさんも読字障害を告白している。文字を全く読めないわけではないが、極端に遅かったり、読み間違えたり、文字や単語を抜かして読むことがある。読むのに精いっぱいで、言葉のつながりや意味を理解できないため、教科書の内容を理解することに苦労し、国語以外の教科にも影響する。作文を書くことも苦手で、読書を好まないために語彙(ごい)力や知識が身に付かない。

 二つ目は「書字障害」。読むことはできるが、文字を書くことが苦手な障害。特に漢字を苦手とする子が多く、小学1年生だと漢字を習い始める2学期以降につまずきやすい。漢字が難しくなる小学3年生でひらがなばかりで文章を書いている場合も注意したい。

 三つ目の「算数障害」は、計算や数の概念・量的把握が苦手、図形・表・グラフを理解することが難しい。具体的には、計算の繰り上がり、繰り下がりが理解できない、アナログ時計が読めないなど。

 

 子どもがLDではないかと心配な時に「インターネットの情報などからの安易な自己診断には要注意。LDは専門的な診断を必要とする」と小黒院長は注意を呼び掛ける。まずは学校の先生や地域の教育委員会、教育センターなどに相談し、つまずきの原因を探ってもらう。小児科の発達外来を受診すると、LDの診断やアドバイスが受けられる。LDには自閉スペクトラム症や注意欠陥多動性障害(ADHD)が伴っているケースもあるという。

 LDの子どもには家庭や学校の理解や個別的配慮が必要となる。周囲の人の正しい認識や理解がないと、子どもは苦手な部分ばかりを指摘されたり、「努力が足りない」と怒られたりして、自信ややる気を持てなくなることがある。つまずいている部分を把握し、個別指導や教材を工夫するなどその子に合った支援を行うことが重要となる。

 家庭では、小さい頃から本の読み聞かせや、分からない言葉は絵と言葉で説明することが大切。また学校では頑張って過ごしていることが多いので、好きなことを楽しむなどリラックスできる時間をつくってあげたい。

 小黒院長は「親は子どもに寄り添い、できたことを褒めて自信を持たせ、味方になってほしい。早めに対応することが大切」と話している。