その愛らしい名前とは裏腹に、現地では悪魔の使いとも言われているそうだ。童謡「アイアイ」でおなじみの霊長類のことである。世界中でマダガスカルにしか生息していない▼日本からはるか離れたアフリカ南東部沖の島国で思い及ぶのは、後はバオバブの木くらいか。佐野市のNPO法人「エコロジーオンライン」が、過度な森林伐採が問題を引き起こしているこの島国の森の再生を目指す活動に乗りだした▼先日、現地を訪れた理事長の上岡裕(かみおかゆたか)さん(58)によれば、大地は想像以上に荒れ果てていたという。焼き畑や燃料にするために木を切り倒し、かつて8割を超えた森林率が今は1割を切る▼環境問題に取り組む上岡さんとマダガスカルを結び付けたのは、郷土の偉人田中正造(たなかしょうぞう)だった。国際協力機構(JICA)の関係者に「世界の最貧国の森林破壊を食い止めるためにも正造の精神を生かしてほしい」と持ち掛けられた▼「真の文明ハ山を荒らさず川を荒らさず…」の正造の言葉をかの国で実践するために、国内で培ったエコ燃料などのノウハウを駆使する構えでいる。11月にも現地を再訪し、交流を深めニーズを発掘する▼正造を生んだ本県である。最果ての国の環境破壊に関心を持つことはできるだろう。上岡さんは、求めがあればどこにでも出掛けて説明に応じるという。