カラス研究の成果を著書にまとめた杉田名誉教授

 「カラス博士」として知られる宇都宮大の杉田昭栄(すぎたしょうえい)名誉教授が、20年以上にわたる研究成果をまとめた「カラス学のすすめ」を緑書房から出版した。解剖学の視点からカラスの能力の素晴らしさや鳴き声の意味などを分かりやすく解説したほか、神話や伝承、物語に出てくるカラスにも考察を加え、縦横無尽にその魅力に迫った。杉田名誉教授は「自然の生き物との共生を見つめ直すきっかけになれば」と話している。

 「定年後は趣味のカメラを楽しむ予定でしたが、思ったほど暇じゃなかった」と笑顔を見せる杉田名誉教授。今春定年を迎え、教壇を降りたが、今も全国津々浦々からカラスに関する相談や質問の電話が相次ぐ。

 自身5冊目の“カラス本”となる本書は、解剖や飼育、実験を通して徹底的にカラスを追った研究の集大成。「カラスと人間のこれまで」「一般常識」「からだ」「知恵」「五感」「鳴き声」「飛翔能力」「カラスと人間のこれから」の8章構成でカラスの事件簿や身近な疑問について解説した豆知識も「面白おかしく読むことができる」。

 杉田名誉教授の次なる関心の的は「人文社会科学的視点から見たカラス」。例えば、熊野三山(和歌山)に祭られた八咫烏(やたがらす)が3本足であることの不思議。「中国から伝わった『三足烏』と、どこかで結び付けられた可能性がある。この謎は私への宿題」と探求心は尽きない。

 大学では、教授の退職によって学問の継承が困難になることも多いそうだが、「幸い、カラスを学びたいという学生が入ってくる。カラス学は、しばらくは続きそう」と後進の活躍を期待している。

 「カラス学のすすめ」は344ページ。B6判版。1944円。