「文章は人工知能(AI)には書けない」と、高をくくっていたのはひと昔前のこと。驚異的なスピードで進化を遂げるAIの前に、新聞記者も変革を意識せざるを得ない▼県内企業の導入を支援する県の「とちぎAIセンター」が先月末、開所した。セレモニーで福田富一(ふくだとみかず)知事は「生産性を向上させ、収益力を高める好循環づくりに寄与したい」と、並々ならぬ決意を示した▼製品の検品や商品の需要予測などで導入が見込まれる。大幅な省力化はもちろん、各商品の最適な仕入れ、無駄のない原材料の購入につながるという。熟練労働者の技能伝承面での活用も期待されている▼県はIoT(モノのインターネット)と合わせて、導入企業を2025年度に現在の10倍、約3割に引き上げる目標を掲げる。もはや決まり文句化はしているが、少子高齢化に伴う労働力不足が懸念される中、その活用が不可避なのは間違いない▼しかし元グーグル米国本社副社長の村上憲郎(むらかみのりお)氏の基調講演は、予想の、さらに先を行く。例えば消費者対応の劇的変化である。「特注品一品生産を一品種大量生産と同じコストで製造する」などと、固い頭には理解し難い言葉も飛び出した▼「事実は小説よりも奇なり」という。未来技術は社会を何処へ導くのか。怖さすら感じるが、目をそらすことはできない。