抗議の3本指を突き立てた選手は、覚悟を決めたような面差し(おもざし)をしていた。日本と対戦したミャンマーの控え選手が、試合前の国歌斉唱時にテレビカメラの前で国軍の独裁への抵抗を示すポーズを取った▼5月28日に千葉市で行われたサッカーのワールドカップ(W杯)アジア2次予選。今年2月のクーデター後、初の国際試合だった▼国軍による市民への容赦ない弾圧に抗議して、これまで約10人の選手がミャンマー代表への招集を拒否。試合当日、会場の外では約50人の在日ミャンマー人が国軍への抗議を訴えていた▼こうした状況で、あえて代表招集に応じ抵抗のポーズを取った選手は、テレビ生中継という絶好のアピールの一瞬を待ち構えていたのではなかったか▼ミャンマーでは、代表を辞退した選手や抗議活動を行った選手が拘束されているとも伝わる。SNS上では今回抗議した選手が、代表から除名されたとの情報が出回っている。帰国後は、どのような境遇に置かれるのだろうか▼ミャンマー代表は、タジキスタン戦が行われる6月15日まで日本に滞在する。国際サッカー連盟(FIFA)は試合会場での政治的活動を禁じており、ルール軽視が許されるわけではない。だがピッチでボールを追い、ゴールを目指す選手たちが、胸に秘めているものには目を凝らしたい。