故水木(みずき)しげるさんの名作漫画と言えば、「ゲゲゲの鬼太郎」だろう。何度もアニメ化され、子どもたちは妖怪やお化けに夢中になった▼佐野市田沼町の丸山工芸社は、お化け屋敷の企画や運営を手掛ける。例年なら今ごろは夏に向け10件近くのイベントの申し込みが重なり、目の回るような忙しさだそうだが、コロナ禍の中、どこも模様眺めの状況という▼1922(大正11)年創業の同社は戦後、「浅草花やしき」や「後楽園ゆうえんち」などのお化け屋敷も手掛け、全国的にその名を知られる。3代目の柳誠(やなぎまこと)社長(76)はこの道60年の職人で、県の伝統工芸士(佐野生(いき)人形)でもある▼そんな同社と柳社長が一昨年2月、創業以来の危機に直面した。「みんな焼けてしまった」。火災に巻き込まれ貴重な人形や衣装、企画書、効果音テープ、何よりも30年以上使い続けた道具を失った▼気落ちした柳社長を奮い立たせたのは、全国から寄せられた励ましだった。数百枚の着物の寄付などもあった。その年の夏には地元や宇都宮で、お化け屋敷の再開にこぎ着ける▼かつて水木さんとはお化け屋敷で協力したこともあった、という。新型コロナの収束が見えない中でも、柳社長は「もう少しすれば、必ず出口が見えてくる」。ゲゲゲの鬼太郎の主題歌が思い浮かぶ。〽お化けは死なない~。