東日本大震災の被災地支援で足利市の川端秀明(かわばたひであき)さん(47)が痛感したのは無力さだ。買えた救援物資はわずか。トラックも重機の免許もない。「何しに来たんだろう」▼偶然いた知り合いの重機チームを、津波で倒壊した家のあるじにつなぐことができた。喜んでくれた。「何もなくても、人をつなげば何かできる」。思いは、被災地に図書館をつくって本を贈る「みんなのとしょかん」に発展した▼3年前「おもい・つむぎ財団」を設立した。どの自治体も財政が厳しく、しわ寄せは文化や芸術に及ぶ。ならば自分たちが支えたい。遺贈された一流絵画を展示し、見たい人、見てほしい人をつなぐ▼2月、足利市民に愛される山で大規模な火災が起きた。主に根が焼けたので、遠目には分かりづらい。忘れた頃、立ち枯れなど深刻な被害が出てくる▼復興支援は一過性でなく、息の長いものでなければと川端さんは訴える。市にゆかりのあるデザイナーと地場企業をつなぎ、バッジなどオリジナル雑貨を作った。売り上げの一部を基金に入れ、復興に役立てる▼近年はインターネットで資金を募るクラウドファンディングが盛んだが、川端さんは地域経済を巻き込んでみんなの夢をかなえる方法を取る。「役に立ちたい」という思いを一本の糸に紡いだら、山はいつか美しい姿を取り戻す。