新型コロナウイルスの遺伝子情報を解析する次世代シークエンサー。24時間稼働で変異株のタイプを特定する=那須塩原市内

 新型コロナウイルス感染症の「第4波」の要因に挙げられる変異株。菅間記念病院(那須塩原市大黒町)は、栃木県から変異株を特定する「ゲノム解析」の委託を受ける。ゲノム解析が可能な民間医療機関は全国でもごく少数。同病院の関係者は第4波の危機の中、解析結果を診療に生かす取り組みも進めている。

 入り口に「遺伝子検査室」のパネルが貼られた院内の一室。中に入るとガラス越しに、最先端のゲノム解析機器「次世代シークエンサー」が置かれている。機器の内部では、ウイルスの設計図である遺伝子配列が高速で解析されていく。

 一度に最大32検体を解析でき、データ分析など含めて2日程度で完了する。対応するのは菅間博(かんまひろし)理事長(63)をはじめ、医師1人、臨床検査技師2人、獨協医大からの非常勤技術員2人の計6人。菅間理事長は「民間でここまで早くできるところはないのでは」と自負する。

 すでに県から依頼された15検体を解析。インドで流行している変異株の県内初感染も判定した。病院独自でも計40検体ほどの解析を終え、世界中の新型コロナウイルスの遺伝子情報を管理するデータベースに登録した。

 ウイルスが増殖する時に起こる遺伝子情報のコピーミスが「変異」と呼ばれる。解析で変異の性質を明らかにすることで、同じ特徴を追って感染ルートや感染時期までたどることができるという。

 しかし、全国的な変異株感染者の急増で、各自治体の解析を担う国立感染症研究所に負荷が集中。県によると、4月中旬に変異株感染が分かった患者の結果も未通知という。この間に回復し、退院した人もおり、時間を要する株の特定が診療や防疫対策に役立っているとは言いがたい状況だ。

 一方、新型コロナ患者の専用病棟を設ける同病院では、解析結果を即座に診療に生かす。例えば英国株とインド株の両方に感染すれば感染期間が延びて重症化の恐れがある。その場合、空気の流れを考えて患者を配置し、株によっては始めから強力に治療する。診療に反映させるのが院内で解析するメリットという。

 ウイルスは約2週間に1回変異し、感染力を強めたり、ワクチンの効果を弱めたりする可能性が指摘されている。菅間理事長は「解析を医療に生かすのが病院、防疫対策に生かすのが行政。地域に広げないための努力を続けたい」と話した。