国の工事施行認可が下りたことで、宇都宮市などが進める次世代型路面電車(LRT)事業はいよいよ具体的な整備段階に入る。延長約15キロ、全国初となる全線新設のLRT事業は、沿線住民の理解なしには進まない。市には、用地買収や工事に関する住民の懸念や不安としっかり向き合い、真摯(しんし)に対応することが求められる。

 超高齢・人口減少時代を迎える中、市はまちづくりのビジョンとしてネットワーク型コンパクトシティ(NCC)の形成を掲げる。拠点ごとに都市機能を集約し、それら拠点同士を公共交通などで結ぶ構想だ。

 誰もが住みやすく、移動しやすいまちづくりの要となるのがLRTだが、LRTに接続するバス路線の再編や、地域内交通の運行充実がなければ利用者は限定的になる。スムーズな乗り継ぎダイヤと廉価な乗り換え運賃の設定はもちろん、沿線への居住施策や観光資源の発掘なども、需要の掘り起こしには欠かせない。

 「これまでの説明の仕方に疑問がある」。沿線地区での市の説明会では、計画への賛否にかかわらず、住民からそんな指摘が相次いだ。事業自体になお納得していない人たちもいる。

 市にはこれまで以上に住民と誠実に向き合い、それぞれの思いに耳を傾ける姿勢が求められる。