ただでさえ足場の悪い斜面での消火活動を焼け焦げる悪臭と白煙が妨げる。2~3月、20日間以上にわたり燃え続けた足利の山林火災。市消防団第1分団の栗原貞明(くりはらさだあき)分団長(49)は、「とにかく目の前の火を消すのに必死だった」▼総務省消防庁は今、消防団員の待遇改善を検討している。消火・救助に当たった団員に支払う手当を出動報酬とし、1日当たり8千円を標準額とするよう先月、全国の自治体に通知した。多くが実質的な引き上げになるという▼背景にはなり手不足で右肩下がりの団員数がある。1990年に100万人を割り、2020年には81万8千人となった。本県も毎年100人程度減り続け、同年4月時点で約1万4300人、充足率9割弱だった▼消防団は地域防災の主力である。近年、特に異常気象によるゲリラ豪雨や超大型台風などが相次いで発生しており、その役割は一段と重要度を増す。団員確保に向け、多くが低い水準にある報酬のアップは喫緊の課題だろう▼問題は原資である。消防団員の報酬は地方交付税の算入対象となる。消防庁は来春までに見直しに必要となる条例の改正などを自治体に促すが、肝心の財源手当ては国の責務だ▼「10年は厳しいかもしれないが、少なくとも5年は頑張らねば」。栗原分団長らの昼夜を問わない奮闘に報いたい。