多くの市民が本当に開催できるのだろうかと疑う中で、五輪とパラリンピックの時計はどんどん進む。予定ではあと2カ月で五輪の開会式を迎える▼国内予選で大会の出場権を得た選手は満面の笑みをたたえ、あるいは感激の涙を流す。テレビの中継やニュースでその様子を見ている人も多いはずなのだが、「ひのき舞台でも頑張ってほしい」との声は広がらない▼新型コロナウイルスの変異株の感染は深刻だ。共同通信の世論調査では、この夏のオリパラ開催について「中止すべきだ」との回答は59・7%に上った。海外選手団らの来日に伴う感染拡大に不安を感じる回答は、87・7%に達した▼長い鍛錬の時を経て、ようやく競技人生のハイライトを迎えようとしている選手の熱い思いと市民の不安との隔たりは大きい。開催国ならではの高揚感が生み出される雰囲気は感じられない▼海外は今、どんな状況なのだろう。ワクチン接種が進む欧州のイタリアとギリシャは、外国人観光客の受け入れを容易にするため、ワクチンを既に接種したと証明できれば、隔離期間なしに入国を認めるようになった。この動きは加速しそうだ▼日本のワクチン接種が進み、同時に市民の懐疑的な見方が少なくなることを、国際オリンピック委員会も国際パラリンピック委員会も祈っているに違いない。